平成28年 入管法改正の概要
第192回国会(臨時会)において,「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」と「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」が成立しました 。
こちらで、法改正の概要を説明します。
改正法は成立していますが、施行までに、実務において必要となる関係法令等が整備されます。
本ページは、関係法令の整備の伴い、アップデートしていく予定です。
記事に、更新日時を明示させていただきます。内容とともに、ご確認ください。
ーー2016年11月22日:更新ーー
「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律案」
制定の経緯
違法な低賃金で実習生を長時間働かせている現場があることを踏まえ、外国人技能実習生の受け入れ先への監督を強化することを目的に制定されました
法律の内容
1.技能実習制度の適正化
(1) 技能実習の基本理念及び関係者の責務規定を定めるとともに、技能実習に関し基本方針を策定する。
(2) 技能実習生ごとに作成する技能実習計画について認定制とし、技能実習生の技能等の修得に係る評価を行うことなどの認定の基準や認定の欠格事由のほか、報告徴収、改善命令、認定 の取消し等を規定する。
(3) 実習実施者について、届出制とする。
(4) 監理団体について、許可制とし、許可の基準や許可の欠格事由のほか、遵守事項、報告徴収、改善命令、許可の取消し等を規定する。
(5) 技能実習生に対する人権侵害行為等について、禁止規定を設 け違反に対する所要の罰則を規定するとともに、技能実習生に対する相談や情報提供、技能実習生の転籍の連絡調整等を行うことにより、技能実習生の保護等に関する措置を講ずる。
(6) 事業所管大臣等に対する協力要請等を規定するとともに、地域ごとに関係行政機関等による地域協議会を設置する。
(7) 外国人技能実習機構を認可法人として新設し、 (2)の技能実習計画の認定、(2)の実習実施者・監理団体に報告を求め、実地に検査、 (3)の実習実施者の届出の受理、(4)の監理団体の許可に関する調査 等を行わせるほか、技能実習生に対する相談・援助等を行う。
2.技能実習制度の拡充
優良な実習実施者・監理団体に限定して,第3号技能実習生の受入れ(4~5年目の技能実習の実施)を可能とする。
3.その他
技能実習の在留資格を規定する出入国管理及び難民認 定法の改正を行うほか,所要の改正を行う。
施行期日
平成28年3月31日までの間において政令で定める日 。ただし、外国人技能実習機構の設立規定については,公布の日。
「出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律」
制定の経緯
介護の業務に従事する外国人の受入れを図るため、介護福祉士の資格を有する外国人に係る在留資格を設けるほか、出入国管理の現状に鑑み、偽りその他不正の手段により上陸の許可等を受けた者等に適切に対処するため、罰則の整備、在留資格取消事由の拡充等の措置を講ずる必要がある。
改正法の内容
1.介護に従事する外国人の受入れ
介護の業務に従事する外国人の受入れを図るため、現在、経済連携協定(EPA)の枠組み以外では、認めていない介護従事者としての入国・在留を介護福祉士の国家資格を有する者を対象とする新たな在留資格を創設して認める。
活動内容:本邦の公私の機関との契約に基づいて介護福祉士の資格を有する者が介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動
2.偽装滞在者対策の強化
(1)罰則の整備
・偽りその他不正の手段により上陸許可や在留資格変更許可等を受けた場合の罰則を整備 【第70条関係】
・営利目的で前項の行為の実行を容易にした場合の罰則を整備(※現行入管法には,こうした罰則がない。)【第74条の6関係】
(2)在留資格取消事由の拡充等
・活動を継続して三月以上行わないで在留している場合(現行) に加え,活動を行っておらず,かつ,他の活動を行い又は行おう として在留している場合も取消事由とする 【第22条の4関係】
・前項の新取消事由について,逃亡のおそれがあるときは,出国猶予期間を定めず,直ちに退去強制手続に移行することとする【第22条の4及び第24条関係】
・在留資格取消処分に係る事実の調査の実施主体を,「入国審査官」から「入国審査官又は入国警備官」に変更【第59条の2関係】
(3)退去強制に関する規定の整備
・偽りその他不正の手段により上陸許可や在留資格変更許可等を受ける行為を唆すなどした場合を退去強制事由に追加【第24条関係】
施行期日
(1)介護に従事する外国人の受入れ
公布の日から1年以内に施行
(2)偽装滞在者対策の強化
公布の日から3月以内に施行
※このページは、法務省:法務省:出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案 のページにより、作成しています。
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